2014年3月7日金曜日

シンポジウムの背景―主旨説明に変えて―

 数年前、松本曜さんがフィルモア・フェスティバルから帰ってきて、そこでの発表のほとんどが次の3つの少なくとも1つを含んでいたとおっしゃっていたことでした。

1)コーパス
2)実験
3)類型論

(なお、このシンポジウムの司会は当初曜先生にお願いしようと思ったのですが公務でご都合が未定だったので私の方で代わりにさせていただくことになりました)。
かれこれ10年ほど前に当時京大の黒田航さんが言語学の容認性判断には統計を使うべきだという発表を研究会でした際、私は「それは正しい。ただし、みんなが使うようになってから私は使う」と考えたのですが、時代は既にかなりその方向に進んできたようにも思われます。
そこで、コーパス研究で大変ご活躍の石川慎一郎先生、古くから実験的手法に親しみ、幅広い射程で研究されている松井理直先生をお迎えして、コーパス、実験、統計の現状をお話しいただこうと思いました。
一方、私の中にもアームチェア・リングイストのままですむならそのままでいたいという気持ちはありまして、現在理論的研究で国際的に活躍されている岩田彩志先生にそのあたりの将来的ご展望を聞きたいと思いました。
3点目の類型論観点ではこちらも国際的に活躍されている堀江薫先生に類型論の近年の動向も交えて言語学における理論とデータ/エビデンスの問題にご意見をちょうだいしたくコメンテーターをお願いいたしました。
 近年、言語研究の多様化が著しく、特に意味論、語用論、社会言語学、談話分析、会話分析の分野で有望な理論が登場し、着実に研究成果を蓄積しているように思えます。今回はその中から、認知言語学の谷口一美先生、秋田喜美先生、会話分析の串田秀也先生、関連性理論・認知発達研究の松井智子先生という第一線の先生方をコメンテーターにお迎えします。それぞれの分野の現状を交えて、コーパス、実験、統計に関して分野および個人のお考えと講師への質問をいただきたいと考えています。


このシンポジウムは、現在、各分野で活躍されている方々のお考えを聞いて知見を膨らませ、10年後、20年後の言語学像を共同で考えることによって、同世代や若手の研究者、研究者を目指す人々がその新しい言語学像の中で自らがどのような方向を目指していくべきかを考える一つの糧にしたい、してほしいと考えて企画いたしました。ぜひ多数の方のご参加をお待ちしています。

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